- 作者: 守島基博
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/02/14
- メディア: 新書
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この本は実際に人事業務などには関わらない私のような人が読むべき本だと強く感じました。
なぜ自分は評価されないのか、なぜプロジェクトが上手く機能しないのか、そういった悩みを持っている人は決して少なくないと思います。
私の周囲にも、すごい優秀だし人格も素晴らしいけども会社からの評価が不当と思えるくらい低い人がいます。それに気付いた当初(3年ほど前なのですが)は理由が分からず悶々としていたのですが、同じグループの人も軒並み評価が(相対的に見て)低かったのもあってそういうグループなのかと納得することにしていました。
つまりその人自身ではなくグループ・部門としての評価が低いからそれに引きずられているのかと思っていました。元々利益に直結する仕事が少ないところだからしょうがないということは前から言われてたし、まぁそんなもんか程度の認識しかありませんでした。
# 今思うと甘っちょろい話ですが...
で、この本を読んで私の認識が完全に間違っていた事やっと分かったのです。分かってみれば大した事はなくて会社の望むベクトルとは異なるベクトルで仕事をしているから評価が低いだけでした。つまり、会社が評価に値しない仕事をメインでやっているから評価されないと言う当然の話だったのです。
これだけを書くと「そんなの当たり前でしょ?」と言われそうですが、でもこれって結構難しい事だと私は思います。
7つの習慣という本の中で、第3の習慣として重要事項を優先するという事が上げられています。さらにその中で時間管理のマトリックスとして、縦軸に(1)重要である・(2)重要でないを取り、横軸に(i)緊急である・(ii)緊急でないを取って表現しています。
このマトリックスで(1)+(i)=緊急であり重要でもあるエリア【第一領域】は、誰しも最優先に実施したくなる作業が該当します。ただし最優先であることに間違いはないので、ここを最優先に処理する事は決して間違いではありません(一番良い回答でもありませんが)。そして大多数の人がこの領域に仕事の時間を多く割くべきだと考えていると指摘しています。ただし筆者は、一番大事なのは(1)+(ii)=緊急ではないけれども重要であるエリア【第二領域】の仕事だという事を書いています(詳しくは後述)。
それ以外の2つ(2)+(i)=緊急だけども大事ではないエリア【第三領域】と(2)+(ii)=緊急でもないし大事でもないエリア【第四領域】は無駄でありすぐにでも止めるべき仕事であるとされています。
↓図にするとこんな感じです。
第一領域 | 第二領域 |
---|---|
締め切りがある仕事 | 人間関係づくり |
クレーム処理 | 勉強や自己啓発 |
第三領域 | 第四領域 |
電話 | 暇つぶし |
会議や報告書 | 単なる遊び |
接待・付き合い | 意味の無い活動 |
私を含め、周囲の人たちがしている仕事を見ると第二エリアに該当する仕事は一つもありません(以前何度かあったのですが、それを主導していた方はもう退職されてしまったので今は0です)。では第一エリアかというと、実はそれでさえもないのです。もうこの時点でがっかり+脱力してしまいます。
改めてマトリックスを見てみると、どうやらほぼ全ての仕事が第三領域に該当します。つまり、重要でもない緊急の仕事ばかりをやっているわけですから評価する側からしてみたら評価に値しないと言われても文句は言えません。つまりどうでもいい仕事に終始している状態が続いている以上は評価のしようが無いんです。
じゃあ、どうしたらいいのか。
上記のとおり、第一・第二領域に費やす時間を増やさないといけないのですが、現状それが全く出来ていません。表面的な原因は分かっているので私自身いくつか対策を実践してみようと準備していましたが、組織編成や様々なことが重なり、どうでもいいと思うようになりました。どうでもいいと書くと言い過ぎかも知れませんが、私にとってはそこまで労力を費やすに値する組織ではなくなりました。残念ですが対策はお蔵入りです。
ちなみに私が実践しようとしていたのは
(1) CMSの導入
(2) 業務時間外の社内勉強会の実施
の二つです。ここでは具体的な内容については割愛しますが、今まで第三領域に浪費していた時間を第一・第二に振り分ける事でよい組織にしたかったという事だけ書き残して置きます。
そもそもこの本を読もうと思ったのは先日講演に誘われたのがきっかけでした。お誘いをいただいた時に「何を話すか分からないけども、人材マネジメントを主にしている会社だからそういう話をすると思う」と言われ、人材マネジメントって何?と初めて聴く言葉に固まってしまいました。
せっかく面白そうな話を聴くのに予備知識もなしで行くのはもったいないと思い、この本を読んでみました。講演自体はこんな話の上の上をいくような話で本自体は役に立ちませんでしたが、予想に反して普段感じていた疑問を氷解してくれる素晴らしい内容でとても勉強になりました。講演に誘っていただいたり、それに行くという選択をしなければ出会う事は無かった事を考えるとこれも一つの出会いです。こういった素晴らしい出会いを大事にしていきたいなと思わずにはいられません。