害虫

http://www.nikkatsu.com/oldmovie/gaichu/

心の視点が定まらない少女の反抗は 軽やかに加速する。
誰も頼りにできない、戦場のような家庭や学校――。
北サチ子(宮崎あおい)は、母親稔子(りょう)の自殺未遂、小学時代の担任、緒方(田辺誠 一)との恋愛などが影響してか、同級生の女の子とは違った雰囲気を持つ中学一年生の少女。
自分に関する噂話が飛び交う、気詰まりな学校をドロップアウトして、街で気ままに毎日を過ごすことにしたサチ子は、万引きで小銭を稼いで生活する少年タカオ(沢木哲)と、精神薄弱の中年男(石川浩司(たま))と知り合う。彼らと小さな悪事を楽しみ、子供らしい笑顔を取り戻す一方で、変わってゆく自分に対する混乱した気持ちを、教師を辞めて遠方の原子力発電所で働く緒方への手紙に書き付けるサチ子。
一方、クラスメイトの夏子(蒼井優)の努力のかいあって か、サチ子は再び登校し始める。合唱コンクール、人気者の男子生徒との恋、そして何より夏子という親友を手に入れて、順調な学生生活を送るようになったサチ子に、残酷な現実が次々と突きつけられていく・・・。
子供らしい悪戯は加速し、自分のことですら信じられなくなったサチ子は、唯一信じられる存在、緒方に会うために走り出す。そして・・・。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2455

ネットで「宮崎あおいさんの出演作ではこれが好き」という意見があったので、借りてみました。
感想は見なきゃ良かったの一言です。「宮崎あおい」という餌で釣られてしまいました。これは本当に見たくなかった...。今すぐにでも忘れたいくらい不愉快です。
自分の居場所を失っていき、最後の逃げ場として会いに行った先生(田辺誠一)にも結局会えずに見知らぬ男に連れて行かれる始末(お金になる仕事を斡旋するって...)。最初から最後まで救いの無かった作品としてしばらく記憶に残ることになりそうです。


結局「害虫ってなんだ?」って話なんですが、調べてみると「居るだけで周囲の環境を壊してしまうサチ子(宮崎あおい)が害虫」なんだそうです。確かにそのとおりで、彼女の居る空間にある全てのもの・関係は壊れてしまいました。そしてそれはこれからもそうであるだろうという事も作品中で暗示されているようでした。自分が存在するだけでその空間が壊れてしまう、そして自身の居場所すらなくなってしまう役を演じられるのはさすがです。改めて思い返してみて良かったのはその点くらいか・・・。


予備知識なく作品を見る怖さを思い知らされました....。


[追記]
害虫の感想をネットで見てみると、どうやら大きな勘違いをしていることに気付きました。
サチ子がキュウゾウと焼き討ちにしたのは自分の家ではなくて夏子(蒼井優)の家。あれだけ夏子から優しくされたことも、結局サチ子にとっては鬱陶しい行為でしかなかったんですね。レイプされそうになったのも助けてくれたのに....。


そうなると社会にとっての害虫はサチ子かも知れないけれど、サチ子にとっての害虫は夏子だし全てが害虫だという事なのか?という疑問を持ってしまいます。
何だか難しい作品です。あれだけ思い出すのも嫌だったのに、他の人の感想を見ているうちにいろいろと考えたくて全てのシーンを思い出そうとしちゃっています。