暗いところで待ち合わせ

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以前からちょっと気になっていた作品ですが、先日手紙を見に行った際の予告を見たらますます気になってしまいました。原作者の乙一さんの本は一冊しか読んだ事はありませんが、その一冊がとても面白かったのも後押しして見に行くことにしました。
# ちなみにその時読んだ本は夏と花火と私の死体です


そういえば話が全然変わりますが、私の前の前の上司が(入社当時の上司なんですが)乙一が大好きでした。普段は仕事以外の話はあまり話さなかったのですが(笑)、その日は珍しく好きな本とかの話になったのを覚えています。当時私は本はあまり読まないBad Boyだったのであまり話は弾みませんでしたが、乙一ってなんだべ?って感じだったなぁ。。。
もう3年も前のことですが、何だか懐かしくなってしまいました...。これ映画全然関係ないじゃん。


この作品はネタばれ見ちゃうと見る楽しみが6%くらいまでがた落ちなので、これから見ようと思う方はこれより下は見ないで下さい。

パンフよりあらすじを抜粋。

交通事故によって視力を失ったミチル(田中麗奈)は、最愛の父親をもなくし、深い悲しみを胸に、大きな家にたった一人で暮らしはじめる。
いつものように穏やかな時を過ごしていたミチルの耳に、家のチャイムが聞こえた。玄関のドアを開け、「どなたですか?」という問いにも、何の返答もない。
そのとき、一人の男が、ミチルの脇をすり抜ける・・・。男の名は大石アキヒロ(チェン・ボーリン)。
ミチルの家の前の駅で起きた殺人事件の容疑者として警察に追われ、身を隠すために、ミチルの家に忍び込んだのだった・・・。

ベストセラーを原作にしているので当たり前なのですが、本当によく出来たストーリーでした。突然始まった共同生活がどういった形で終わりを迎えるのかとても楽しみでしたが、無事(というのも変な言い方ですが)に終わりを迎えられてホッとしました。


誰かが家にいる...。目の見えないミチルにとって大きな不安抱える日々がしばらく続きますが、台所で転んだ時に助けられた事をきっかけにミチルはこの見えない共同生活者を受け入れていきます。言葉は交わさないながらも、食事を共にし、同じ空気を分かち合うことで互いの存在を認めながら共存していく二人。
いままで他人に受け入れられたことのないアキヒロにとって、この空間がどれほど居心地が良かったか想像に難くありません。ただそこに居てもいいんだという、たったそれだけの事が彼にとってどれだけ救いになった事か。単純な日常を繰り返していく中で、彼の些細な表情の変化からもそれが感じ取られます。


そういった会話も何も無い生活を通して、アキヒロがどういった人間なのかを少しずつ感じ取っていくミチルを演じる田中麗奈さん。本当に素晴らしかったです。細かい所作はもちろん、こういった心の機微までもを伝えてくれた彼女の演技力にほれました。なっちゃんやるなぁ...。


一つ気になった点は、ミチルが鈍過ぎるとこ。前にも書きましたが私の祖母は目が悪くて視力は全くありません。なので何をするにも手探りしながら歩き回るのですが、見えない分気配や音には異常なほど敏感です。なので、あんな風にそばに誰か居たらすぐに感付いてしまいます。とてもじゃありませんが隠れるなんて無理です。
そんなわけで勘の鋭いうちの婆さんだったら最初の玄関のとこで気付くと思います、きっと。
# それじゃあ、全然話が進まないんだけど(笑)


正直言って期待はそれほどしていませんでした。
が、

(1) 中盤以降全く目が離せない展開に釘付け
(2) ミチルの昼寝してる姿に釘付け
(3) 宮地真緒さんの浮きっぷりに釘付け

と釘付けられっぱなしでした。終わりまで一度も時計を見なかった映画は初めてです。