手紙

http://www.tegami-movie.jp/

そろそろ見ないと終わってしまいそうだったので重い腰を上げて行って来ました。入ると意外に人が多く、チケット買うのに初めて並びました(笑) 普段は多くて5人くらいのとこで見てるからなぁ...。カップルや友達同士で来ている人が多く、一人で来ているのは私ともう一人だけでした。


あらすじはここから参照。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD9494/story.html

工場で働く20歳の武島直貴は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それというのも唯一の家族である兄・剛志が、直貴の学費欲しさに盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまったからだった。兄が罪を犯したのは、自分のせいだ。そう自責する直貴は、せめてもの償いにと服役中の兄から届く手紙に丁寧な返事を書き続けていた。そんなある日、更生した元服役囚と出会った直貴は、一度はあきらめたお笑い芸人の夢に再び挑戦しようと決意する。

とにかくテーマが重いだけにどこまで耐えられるのか心配でしたが、終わりが良かったので最後はすっきりと立ち上がることが出来ました。感動や涙を前面に押し出そうという押し付けがましさも特に感じられず、素晴らしい作品でした。


3つ強く印象に残っているシーンがあります。


1つ目は工場の寮で田中要次さんが数学を教えてくれと頼み込み並んで座って話をしているシーン。
これがまた不思議なんですが、夢を追えよと言った事に感動したわけでもなく、かと言って仲直り出来てよかったねでもなく、じゃあ何が良かったんだと思い直しても全然分からないのです。ですが、あの二人の姿がとても好きで好きでたまらないんです。直前にけんかをしてた二人がお互いの痛いところを曝け出して話し合っているその姿がとても記憶に残っています。


2つ目は由美子(沢尻エリカ)が直貴(山田孝之)の名を騙って兄・剛志(玉山鉄二)と手紙の交換をしていると知り、手紙を破いて捨ててしまうシーン。その破かれた挙句捨てられた手紙を道路に飛び出してかき集めている由美子。彼女を道路から連れ出す直貴に、由美子は「こんなことしたらあかん」と叫ぶその姿・声の強さ・訴えかけるその言葉の重さ。全てが圧巻でした。沢尻さんの出演作はいくつか見てますが、こんなにも見ている人の胸を苦しくさせてしまう事が出来る人だという事を初めて思い知らされました。
由美子は父親からの手紙が唯一の楽しみだった時代を生きているからこそ、剛志がどれほど手紙を望んでいるのかが分かっている。そんな姿がとても切ないこの場面はとても強く印象に残っています。


一番忘れられないのは剛志が直貴が漫才をする姿を見て拝み泣きをするシーンです。家族を守るために兄を捨てると宣言した弟が、目の前で兄は一生血のつながった兄貴なんだという事を言ってくれた事、弟の姿が見れた事、その全ての喜びに打ち震えて嗚咽している姿はもう直視出来ませんでした。ガオレンジャー...。
このシーンだけは泣いてしまいました。ホント号泣です。あの拝み泣きは今まで見たどの映画のどのシーンよりも心を鷲づかみにしました。言葉ではなく姿から伝わってくる兄の喜び・感謝の気持ちがもう...。思い出すと泣けるのでもう書くのは止めときます。


あと、この作品で気に入ったのは山田君とお笑いの相方を組んでた尾上寛之君。どこかで見たことあるなぁと思ったら虹の女神にも出てましたね。若手のお笑い芸人にありがちなノリのよさや物腰の柔らかさ。主役と仲の良い友達という役柄をきっちり演じていました。主役という感じではありませんが、どの作品でも居て欲しいキャラクターです。


相変わらず感想はうまくまとまりませんが、本当に見てよかったと思える作品でした。犯罪を犯した人が本当に考えなければいけないのは何なのか。本当の贖罪とはどういったことなのかについて考える一つのきっかけになると思います。会長(杉浦直樹)がおっしゃっていたように、服役すればそれが罪を償うということではないのだと言う事を改めて認識しました。
周囲の人が受ける苦しみも含めて罪を償う事なのだとすれば、犯罪を犯すということの重さに息苦しくさえなります。でもそれが現実なんですよね。


たった二時間という時間でしたが、直貴の人生を自分が経験しているようなとても貴重で充実した時間をすごせました。人を選ぶかと思いますが、興味のある人はぜひ見て感想を聞かせてください。


そういえば結婚後の由美子が誰かに似てると思ってずーっと考えてたのですが、何となくほしのあきっぽかったです。髪型が妙に古臭いとことか、着てるもののダサさが年齢を上に見せてたのでしょうか。それでも普通に(普通以上に)かわいかったんですが。